ネットショップでは、店頭販売と違って購入前に販売者へ直接質問できないため、誰が、いくらで、いつ届け、どの条件で返品を受けるかを画面に表示します。屋号だけを書けばよいとは限らず、自宅住所を載せたくない場合も、単に空欄にするのではなく法令上の条件を確認する必要があります。この記事は消費者庁の案内を基に、公開前に見る画面を3つへ絞って解説します。個別の事業や商品への法的助言ではないため、実際の表示は利用サービスと所管窓口の最新情報も確認してください。
この記事でわかること
- 対象の目安:利益を得る意思で反復・継続してネット販売する事業者
- 販売者名:個人事業主は氏名または登記された商号。店名だけでは不足
- 確認する画面:商品ページ、特商法表記ページ、注文確定直前の画面
- 住所を出さない場合:請求時に遅滞なく開示できる表示と実際の対応が必要
自分のショップが通信販売に当たるか確認する
Webサイト、アプリ、SNSなどで商品や有料サービスを案内し、画面、メール、フォームなどから購入申込みを受けると、通信販売のルールが関係します。個人でも、利益を得る意思を持って反復・継続して販売する場合は、事業者として表示義務の対象になり得ます。
フリマアプリを一度使っただけなら直ちに同じ扱いになるとは限りません。一方、仕入れた商品を継続して販売する、自作商品を定期的に受注する、SNSから繰り返し注文を受ける場合は『個人だから対象外』と決めつけず、販売方法を確認します。
特定商取引法に基づく表記へ入れる基本項目
特商法の表記ページは、フッターなど購入前に見つけられる場所から常時リンクします。利用するネットショップの入力欄だけに頼らず、表示された公開ページを購入者側の画面で確認します。金額は『別途送料』で終わらせず、地域別送料や無料条件へすぐ移れるようにします。
- 販売価格:税込価格。送料、手数料など商品代金以外に必要な金額
- 支払方法と支払時期:カード、振込など利用できる方法と決済される時点
- 引渡時期:注文、入金、製作完了のどの時点から何営業日以内か
- 返品・交換・キャンセル:可否、期限、条件、送料負担。不良品時の対応
- 販売事業者:個人事業主の氏名または登記された商号、住所、電話番号
- 必要に応じて:代表者・業務責任者、申込みの有効期限、販売数量の制限
屋号・住所・電話番号で迷いやすい点
個人事業主の販売者名は、戸籍上の氏名または商業登記された商号を表示します。一般的なショップ名、サイト名、通称だけでは氏名に代えられません。住所は実際に活動する住所、電話番号は確実に連絡が取れる番号を使うのが原則です。私書箱だけの表示では足りないと消費者庁のQ&Aに示されています。
住所や電話番号は、『請求があれば遅滞なく開示する』旨を広告に表示し、実際に申込みの意思決定へ間に合うよう提供できる場合、表示を省略できることがあります。省略文だけを置き、請求方法が分からない、返信が購入後になる状態は避けます。利用するネットショップ事業者等の住所・電話を表示できる場合も、営業の拠点として機能し、事前の合意、本人確認、確実な連絡などの条件があります。単に住所貸しサービスを契約すれば必ず適法になるわけではありません。
- 避ける:ショップ名だけ、存在しない住所、連絡が取れない電話番号
- 省略する場合:開示請求の方法、対応担当、回答期限を運用として決める
- 外部住所を使う場合:郵便受取、連絡転送、本人確認、契約条件を確認
- 判断に迷う場合:消費者庁のQ&A、利用サービスの案内、行政書士・弁護士等へ確認
注文確定直前の画面で6項目を確認する
特商法表記ページがあっても、注文確定直前の画面で必要事項を確認できなければ十分とは限りません。消費者庁のガイドラインでは、最終確認画面で数量、支払総額、支払時期・方法、引渡時期、解除・返品、期限付き申込みの期限を分かりやすく表示する考え方が示されています。
数量と商品内容を見る
商品名、個数、定期購入の回数・各回の数量が、確定ボタンの前で確認できるか見ます。
支払総額を見る
商品代、送料、手数料、税を含む最終金額を表示します。定期購入は各回と総額が分かるようにします。
支払と引渡しを見る
支払方法・時期と、発送またはサービス提供の時期を同じ流れで確認できるようにします。
返品・解約条件を見る
返品の可否、解約方法、期限、連絡先を確定前に確認できるリンクまたは表示にします。
ボタンの文言を見る
『送信』『次へ』だけでなく、押すと有料注文が確定することが分かる表現になっているか確認します。
公開前と変更時に15分で点検する
商品ページ、特商法表記ページ、注文確定直前の画面を、スマートフォンとパソコンで1回ずつ確認します。100円程度の非公開テスト商品を作れるサービスなら、決済を完了せず確定直前まで進み、送料と表示順を確認します。実際の公開方法は利用規約に従い、不要な実決済は行いません。
価格改定、送料変更、決済方法の追加、予約販売、期間限定販売を始めるたびに点検します。月1回15分を目安にリンク切れと連絡先も確認し、変更日を運用メモへ残します。法令やサービス仕様が変わる可能性があるため、この記事の日付だけで判断せず一次情報を確認してください。
- 商品ページ:税込価格、送料への導線、在庫・納期
- 特商法表記:氏名、住所・電話、支払、引渡し、返品
- 最終確認画面:数量、総額、支払、引渡し、返品、申込期限
- 変更後:スマートフォン表示、リンク、問い合わせ先への到達
迷ったら、まずここから
- 対象の目安:利益を得る意思で反復・継続してネット販売する事業者
- 販売者名:個人事業主は氏名または登記された商号。店名だけでは不足
- 確認する画面:商品ページ、特商法表記ページ、注文確定直前の画面
- 住所を出さない場合:請求時に遅滞なく開示できる表示と実際の対応が必要
よくある質問
ショップ名だけを書けば販売者名になりますか?
個人事業主は、氏名または商業登記された商号を表示します。一般的な屋号、サイト名、通称だけでは氏名に代えられないと消費者庁のQ&Aで案内されています。
自宅住所を必ず公開しなければなりませんか?
住所等は原則表示事項ですが、『請求があれば遅滞なく開示する』旨を表示し、申込みの判断に間に合うよう実際に提供できる場合など、省略が認められる条件があります。利用サービスの機能と最新Q&Aを確認してください。
返品不可と書けば返品をすべて断れますか?
商品や契約によって適用される法令が異なり、不良品や表示と違う商品まで一律に免責できるとは限りません。返品条件を具体的に表示し、扱う商品固有の規制も確認します。
SNSのDMだけで注文を受ける場合も関係しますか?
SNSで商品を広告し、DMなどで購入申込みを受ける販売も通信販売に当たり得ます。販売者情報、価格、支払・引渡し、返品条件を購入前に確認できるページへ案内します。
参考:消費者庁:通信販売広告の表示事項/消費者庁:通信販売広告Q&A/消費者庁:通信販売のルール/消費者庁:通信販売の申込み段階における表示ガイドライン